「山形に戻りたい、移りたい」と思ったとき、実際にいくらお金が動くのかは気になるところだと思います。 結論から言うと、山形県は東京圏からの移住支援に力を入れていて、条件が合えば世帯で最大200万円を超える 支援を受けられる可能性があります。ここでは、2026年度(令和8年度)時点で確認できる制度を、 条件つきで整理しました。
核となる制度:移住支援金(最大200万円超)
東京23区に住んでいる、または東京圏に住みながら23区へ通勤している人が、山形県内に移住して 対象の仕事に就く、起業する、あるいはテレワークを続ける場合に支給される、国と県による制度です。
| 世帯構成 | 支給額 |
|---|---|
| 世帯での移住 | 100万円 |
| 単身での移住 | 60万円 |
| 18歳未満の子1人につき加算 | 最大100万円加算 |
子ども2人を連れて世帯で移住した場合、100万円+100万円×2人=最大300万円という計算になります。 対象になるための主な条件は次の通りです。
- 東京23区に在住、または東京圏在住で23区へ通勤していた(直近1年以上、かつ過去10年で通算5年以上)
- 「JOB山形」に掲載された対象求人への就業、起業支援金の交付決定を受けての起業、専門人材としての就業、 またはテレワークでの移住のいずれかに該当
- 就業の場合、週20時間以上の無期雇用契約で、5年以上継続勤務する意思があること
- 転勤・出向・出張・研修による異動ではなく、新規の雇用であること
若者・子育て世帯向けの県の支援金(最大40万円)
東京圏に限らず、県外から移住した40歳未満の若者世帯、または15歳未満の子どもを帯同する子育て世帯には、 山形県が独自に最大40万円を支給する制度があります(令和8年度)。ただし、国の移住支援金(東京23区の在住・通勤が要件のもの)の 受給者または対象者がいる世帯は、この支援金の対象外です。つまり、上の移住支援金とは併用できません。 東京23区の在住・通勤の要件に当てはまらない方(東京圏以外からの移住者など)向けの制度、と考えると整理しやすくなります。
| 区分 | 支給額 |
|---|---|
| 若者単身世帯(令和8年4月1日時点で18歳以上40歳未満の移住者1人のみ) | 10万円 |
| 若者2人以上の世帯 | 20万円 |
| 子育て世帯(15歳未満の世帯員を帯同し、移住者が2人以上) | 20万円 |
| 若者世帯と子育て世帯の両方に該当 | 40万円 |
主な条件は、令和8年1月1日〜12月31日に県外から転入したこと、転入前に3年を超えて県外に継続して住んでいたこと(在学期間を除く)、 転入前日までの「やまがた暮らし移住希望登録」、転入後の「移住完了アンケート」への回答などです。申請期限は令和9年1月29日です。 この支援金を受けたあと、転入日から3年以内に県外へ転出すると、支援金の返還を求められます。
住宅費の比較:山形と首都圏
移住支援金がいくら出るかと同じくらい気になるのが、住んでからの固定費だと思います。 公的な統計から、住宅地の地価と、賃貸の家賃を比べました。
家賃シミュレーター
今のお部屋の家賃と広さを入力すると、同じ広さの部屋を山形で借りた場合の家賃の目安と、20年間での節約額がわかります。
現在の実質月額家賃
同じ広さを山形で借りた場合
山形の家賃は、山形県の平均家賃(46,126円/月)を全国平均の床面積(41㎡)で割った、1㎡あたりの単価から算出した概算です。
実際の物件ごとの家賃は、立地・築年数・設備によって大きく異なります。
更新料は2年に1度発生するものとして、月あたりに均等按分して計算しています。山形県内の物件でも更新料が発生する場合があります。
20年間、家賃・更新料の金額が変わらないと仮定した単純計算です。引っ越し費用や敷金・礼金の違いは含めていません。
数値はブラウザ内でのみ計算され、送信・保存は行われません。
子育て支援:医療費・保育料
移住・Uターン先として山形を検討するとき、子育てにかかる継続的な費用も気になるところだと思います。 ここでは、医療費と保育料に絞って整理しました。
一方、保育料については、山形県が独自に踏み込んでいる部分があります。 国の幼児教育・保育の無償化は3〜5歳が対象で、0〜2歳は住民税非課税世帯のみが対象です。 山形県はこれに加えて、2025年4月から、0〜2歳児の保育料について、国基準で無償化されていない所得階層を、市町村民税所得割169,000円未満の世帯まで広げて、市町村と連携して負担を軽減しています。 県が国基準利用料の1/2(所得割97,000円未満)または1/4(97,000円以上169,000円未満)を市町村に交付する仕組みで、実際の保育料の減額や無償になる範囲は市町村によって異なります。
このほか、第3子以降の保育料無償化(多くの市町村)、出産祝い金やチャイルドシート購入補助(市町村ごと)など、 地域独自の上乗せも多数あります。金額・条件は市町村によって差が大きいため、検討中の市町村に個別の確認をおすすめします。
県産品の提供と、家賃の補助
2026年(令和8年)1月1日〜12月31日に県外から転入した移住世帯には、山形県産米「つや姫」や味噌、醤油などの 県産食品が提供される県の事業があります。単身世帯には米10kg、2人以上の世帯には米20kgに加え、味噌1kg・醤油1ℓ・県産食品1セットが 届けられます(転入前日までの移住希望登録と、転入後のアンケート回答が条件。申請期限は令和9年1月15日)。 金銭的な支援ではありませんが、山形の暮らしを最初の一歩として体験できる仕組みです。
また、県外から移住して賃貸住宅に入居した方には、県の制度として家賃の一部(上限月1万円)を最大24か月補助する事業があります (令和8年の転入が対象。転入前日までの移住希望登録などが条件で、申請期限は令和9年1月29日)。 このほか、市町村が独自に家賃補助を用意している場合もあります。補助額や期間は市町村ごとに異なるため、移住を検討している市町村に個別の確認が必要です。
市町村独自の上乗せ:東根市の例
県の制度に加えて、市町村が独自の補助金を用意していることも多く、組み合わせるとさらに手厚くなります。 一例として、このサイトでも取り上げている東根市の「定住促進事業助成金」を紹介します。
| 区分 | 助成額 |
|---|---|
| 基本額 | 15万円 |
| 子育て加算 | 5万円〜(3人以上でさらに加算) |
| 地区加算 | 10万円または25万円 |
| 中古住宅加算 | 20万〜35万円 |
対象は、建築費または購入費が500万円以上の住宅を取得し、転入前3年間は市内に住所がなかった世帯です。 地区の自治会への加入が条件に含まれている点は、地方ならではと言えるかもしれません。 東根市以外の市町村にも、住宅取得やリフォームに対する独自の補助金があるので、 移住先を決める際は候補地の制度も比較してみてください。
県内主要6市の、移住・定住補助金を比べる
山形県を四つの地方に分け、それぞれの地方の中心となる市を含む主要6市(村山地方2市・庄内地方2市・置賜地方1市・最上地方1市)の制度を、タブで比較できるようにしました。人口の順位で選んだものではなく、各地方の中心都市を中心に選んでいます。
山形市
村山地方 県庁所在地。人口最多。| 制度名 | 金額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 移住支援金 | 世帯100万円/単身60万円 子1人につき最大100万円加算 | 東京23区在住・在勤/就業・起業・テレワーク等の要件あり |
| 結婚新生活支援補助金 | 上限60万円(29歳以下) 上限30万円(30〜39歳) | 婚姻の時期や年齢などの要件は年度ごとに変わります。最新の募集要項を山形市の案内で確認してください |
県都だけに情報発信は手厚く、Instagram「ヤマガターン」など移住専用の広報も充実。ただし住宅取得の独自加算は他市より控えめな傾向。
鶴岡市
庄内地方 県内2位の人口規模。ユネスコ食文化創造都市。| 制度名 | 金額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 移住支援金 | 世帯100万円/単身60万円 子1人につき最大100万円加算 | 県共通制度と同様 |
| 住宅リフォーム支援事業補助金 | 移住・新婚・子育て世帯は工事費の1/3(上限30万円) 移住世帯で空き家を活用する場合は工事費の1/3(上限200万円) | 市内業者との契約が条件。第1回(先着)は締切済みで、2026年度は第2回(抽選)以降の募集 |
| お試し住宅 | 市営住宅を、1か月以上〜最長6か月、お手軽な家賃で貸出(短期の利用枠もあり) | 県外在住で移住を希望する成人の方が対象。就職・転勤・結婚・進学などで転入が決まっている方は対象外 |
| つるおかエール奨学金返済支援 | 奨学金の返済を支援 | 学生または県外在住の社会人で、今後、鶴岡市に居住・就業する方が対象 |
「お試し住宅」で移住前に暮らしを体験できる点が特徴。就農・研修者向けの支援も手厚い。
酒田市
庄内地方 日本海側の港町。庄内空港あり。| 制度名 | 金額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 移住定住者住宅支援費補助金 | 購入費の1/10(上限25万円)+改修等の1/10(上限20万円) 中学生以下の子がいる世帯は加算あり(購入25万円・改修20万円) 賃借する空き家の改修は1/2(上限25万円) | 令和8年4月1日以降に契約する中古住宅・空き家(新築・建売は対象外)。自ら5年以上居住する目的が条件。申請の要件は市の案内で確認 |
| 移住支援金 | 世帯100万円/単身60万円 | 県共通制度と同様 |
空き家を購入して改修するパターンへの補助が手厚い。新築より中古活用を後押しする設計。
米沢市
置賜地方 上杉氏の城下町。ものづくりのまち。| 制度名 | 金額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 移住者向け住宅改修補助 | 基本100万円+子育て世帯かつ若者世帯の加算10万円+ 指定区域内加算10万円(最大120万円・補助率2/3) | 空き家の購入・改修。市内に事業所を置く施工業者との契約が条件。10年以上定住する見込みなどの要件あり |
| 移住検討者おためし滞在支援 | 宿泊料・一時預かり保育費を補助 | 移住を検討し現地活動を行う方が対象 |
| 移住支援金 | 世帯100万円/単身60万円 | 市町村民税等の滞納がないことなどが条件 |
空き家改修への補助が手厚い。市内の施工業者を使うことが条件になる点に注意。2026年度からは、子育て・若者世帯向けの新築住宅補助(最大100万円)も始まっています。
天童市
村山地方 将棋の駒生産で知られる。| 制度名 | 金額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 空き家利活用支援事業費補助金 | 改修費の2/3(上限80万円) 引越し費の2/3(上限10万円) | 令和5年4月1日以後に市外から転入し、空き家を購入した世帯。県内事業者との契約が条件 |
| やっぱりてんどう!中古物件等取得支援補助金 | 最大40万円(市外からの転入の場合) | 中古物件を取得して居住する世帯。契約の相手方が2親等以内の場合は対象外 |
| お試し移住滞在費補助金 | 住居・仕事探しなどの活動にかかる宿泊費を補助 | 移住を目的とした現地訪問が対象。観光などが目的の場合は対象外 |
| 新規就農者定住支援 | 賃貸住宅の家賃等の一部を補助 | 市内での就農・農業研修開始が条件。令和8年度分は予算に達したとされ、相談のみ随時受付 |
| 移住支援金 | 世帯100万円/単身60万円 | 40歳未満または子ども帯同で若者・子育て世帯加算の対象になる場合あり |
空き家の購入・改修や中古物件の取得への補助に加え、移住前のお試し滞在、新規就農者向けの支援まで、幅広く用意されている。新築住宅の取得応援事業もある。
新庄市
最上地方 新庄まつりの城下町。最上地方の中心。| 制度名 | 金額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 県外移住者向け住宅取得助成金 | 新築100万円/中古150万円 (3世代で移住する場合は100万円を加算) | 転入の直前に県外に5年以上居住していたこと、申請時に転入から2年以内であることなど。予算の範囲内 |
| 3世代同居等住宅取得助成金 | 3世代同居100万円/近居30万円 | 夫婦のどちらかが40歳未満で、高校3年生までの子がいる子育て世帯。3世代同居・近居を5年以上続ける意思が条件。先着順 |
| 移住支援金 | 世帯100万円/単身60万円 | 県共通制度と同様 |
県外からの移住世帯への住宅取得助成と、3世代同居・近居への助成が特徴。子育て支援(医療費助成など)と合わせて設計されている。
他の都道府県と比べると、どうなのか
移住支援金は国の制度をベースにしているため、金額そのものは多くの都道府県で共通です。 その中で、山形県が独自に踏み込んでいる部分を、正直ベースで比較しました。
| 項目 | 全国的な標準 | 山形県 | 山形の位置づけ |
|---|---|---|---|
| 移住支援金(世帯・子加算) | 100万円+子1人最大100万円 (国の基準に準拠する県が大半) |
同水準 | 横並び |
| 0〜2歳保育料の無償化・軽減の範囲 | 住民税非課税世帯のみ (国基準のままの県もあります) |
所得割169,000円未満まで軽減を拡充 | 山形が手厚い |
| 子ども医療費(高校生まで) | 全国の市区町村の約9割が実施 (こども家庭庁の調査、2025年) |
県内の主要市は、高校生年代(18歳年度末)まで助成 | 全国標準に追いつく水準 |
| お試し移住・お試し住宅 | 制度がない自治体も多い | 鶴岡市など複数市で用意 | 選択肢が豊富 |
「移住したら得られる一時金」の額そのものは、実は国の制度に準拠する都道府県がほとんどで、大きな差はつきにくい設計になっています。 差が出やすいのは、むしろ移住した後、住み続けるあいだずっと効いてくる制度(保育料の軽減範囲、お試し移住の選択肢)の方です。 山形県は、この「住み続けてからの支援」の部分で、独自の上乗せを進めている県のひとつだと言えます。
申請の流れ(Uターンの場合の一例)
- 「やまがた暮らし移住希望登録」に、転入前に登録する
- 「JOB山形」などで対象求人を確認し、応募・内定を得る(起業やテレワークの場合はそれぞれの条件を確認)
- 転入し、住民票の異動を行う
- 就業先で一定期間勤務したことを確認できる状態にする
- 移住先市町村の窓口へ移住支援金を申請する
- 市町村独自の助成金がある場合は、あわせて申請する(多くは転入後の申請)
Uターンの場合、過去に県内に住んでいたことが条件に関わる制度もあります。県の若者・子育て世帯向け制度では、 「過去に県内に住んでいたが、3年を超えて県外に居住していた(大学等在籍期間を除く)」といった 定義がされているので、該当するかどうかは早めに窓口に確認しておくと安心です。
住宅地の地価:国土交通省「地価公示」2026年(令和8年)、都道府県平均。 家賃:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」表7(借家・専用住宅、家賃0円を除く実勢平均)。
相談窓口:やまがたごこち(山形県移住交流ポータルサイト)